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西武線ファンサイト
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► 物語・漫画

西武線にまつわる掌編小説・漫画・詩のページです。すべて管理人の創作です。


▶ 掌編小説 〜 田無ホームの三つの話
「田無の夜ホーム」

21時を過ぎたホームに、麻衣はひとりで立っていた。
テスト勉強の帰り道、いつもより遅い電車を待ちながら、 ホームの端の蛍光灯が一本だけ点滅しているのを眺めていた。

対向ホームに見覚えのあるスクールバッグが目に入った。 同じクラスの浩二だった。彼もこちらに気づいて、少しだけ会釈をした。

どちらの電車が先に来るだろう、と麻衣は思った。 来た。西武新宿行きが、静かにホームに滑り込んできた。 浩二は乗り込んで、窓越しにもう一度こちらを見た。電車は動き出した。

ホームにまた静けさが戻った。本川越行きはまだ来ない。 点滅していた蛍光灯が、ふっと消えた。

— 2011年執筆

「乗り換え」

東村山で乗り換えるとき、いつも同じ顔に会う気がすると拓也は思っていた。 国分寺線から多摩湖線への短い乗り換えに、毎朝同じ時間帯に同じホームにいる、 紺色のリュックサックを背負った女子高生。

今日、その子が走ってきて、閉まりかけた多摩湖線のドアに滑り込んできた。 車内はほぼ満員だったので、拓也の隣のつり革しか空いていなかった。

二駅分、ふたりは並んで揺られた。
西武遊園地で彼女は降りた。拓也は終点まで乗った。
名前も知らない。話したこともない。
それだけの話だ。でも、なんとなく覚えている。

— 2012年執筆

「東村山の夜」

終電に乗り遅れた。
東村山のホームのベンチに座って、健一は母親に電話をかけた。 「迎えに来て」とは言えなくて、「友達の家に泊まる」と嘘をついた。

深夜のホームは静かだった。改札を抜けると、駅前のコンビニだけが白く光っていた。 漫画雑誌を一冊買って、店の前のベンチで朝まで読んだ。

始発は5時18分だった。誰もいないホームで電車を待ちながら、 空が明るくなっていくのをぼんやり見ていた。 こういう夜もあっていいか、と健一はなんとなく思った。

— 2013年執筆


▶ 漫画プロジェクト(制作中)
漫画制作中

【連載予定:西武線の旅 — 漫画版】

全6ページの短編漫画を制作中です。
「田無の夜ホーム」を原作とした手描きコミックです。

※ 2014年春 公開予定(現在ペン入れ作業中)

▶ 西武線の都市伝説

※ 以下はすべて管理人が収集・創作したフィクションです。実際の事実とは関係ありません。

【旧・入曽信号場の駅長】

西武新宿線の入曽〜狭山市間には、かつて使われた信号場跡があるという。 深夜、その付近を走る電車の運転士が、線路脇に制服姿の人影を見たという話が 複数の乗務員の間で語られているらしい。近づくと消える、という。 地元の古老に聞いたところ、「昔この辺りで勤めていた駅員さんの話は聞いたことがある」 とだけ教えてもらえた。詳しくは分からなかった。

【東吾野に止まる電車】

池袋線の終点・吾野のひとつ手前、東吾野駅は山に囲まれた静かな駅だ。 ある鉄道ファンが深夜に徒歩で訪れたとき、 ダイヤにない時間帯にホームへ電車が入ってきて、 しばらくドアを開けたまま停まっていたという。 乗客は誰も乗っておらず、車内の灯りは半分ほど消えていた。 数分後、静かに飯能方面へ走り去った。 その話をした本人は、今もその路線を使っているという。

【多摩川線の白い影】

他の西武線路線とレールのつながっていない多摩川線。 孤立した路線ゆえか、独特の空気があると感じる人は多い。 白糸台駅のホームで終電を待っていた乗客が、 線路の向こうの暗がりに白いワンピース姿の人影を見たという話が、 沿線住民の間で十年ほど前から伝わっている。 その夜は霧が出ていたそうで、見間違いだったかもしれない。でも、翌朝も線路には何もなかった。


▶ 詩「雨の日の西武線」(2011年)
雨の日の車窓は
にじんだ信号と
だれかの傘の色

ガラスの内側は乾いていて
向かいの席のひとは眠っている

所沢を過ぎると
田んぼに靄がかかって
電車だけが走っている

どこへ行くでもなく
ただ揺られていたい日がある

— 2011年3月、池袋線にて